ズヴェーデンのブラ全

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タワレコのセールが終わるということで、渋谷に行って、ブラ全を2つ買ってきた。どっちも廉価セット。

シャイーは、評判が芳しくない指揮者ではあるけれど、彼の演奏したマーラーは機知に富んでおり、私は好きだ。それなりに期待して聴いてみたけれど、ブラームスはちっとも良くない。1番は、まあまあ聴けたけれど、他は盛り上がりに乏しく、聴くだけ時間の無駄だと思った。


気を取り直して、今度はズヴェーデンのセットを聴いてみる。音楽性の高さを随所に感じる。この指揮者は何者なのだろう?


まず、バランス感覚が非常に優れていることに気が付く。ブラームス管弦楽曲の演奏は結構、難しい。弦の厚い響きに管が負けてしまうことがあるからだ。別に、それが悪いとは思わないけれど、せっかく魅惑的なフルートやクラリネット独奏があるのだから、もっとそれを聴きたい。頭角を現しつつあるハーディングという指揮者は、まさにバランス感覚を全面に押し出して音楽を作っているが、ズヴェーデンにもそういった知性や小回りの利いた良さがある。そして、二人とも、それに対して自覚的である。(余談だけど、来年のハーディングとLSOの来日公演、S席3万だそうだ。足下見過ぎ)


弦楽合奏を巧みにコントロールする、ズヴェーデンの手腕は評価されていいだろう。木管に対しては補助的であり、クライマックスでは劇的な運動性を強調する。それが嫌味にならないのがいい。弱奏にはっとするような魅力があるのだけれど、神経質になりすぎない点がハーディングとの違いだろう。全体としては神経が通っているけれど、投げやり的な側面も持っているのが長所でもあり、短所でもある。この全集は、ブリリアント・クラシックスから出ている。3枚組で1200円だった。ジャケットはひどいけれど。安いだけではなく、最後の作品番号を持つ晦渋な「コラール前奏曲集」の管弦楽編曲版が収録されているのも魅力的だ。最晩年の瞑想的なブラームス作品を好む人には、堪えられないはず。演奏も、編曲ものという点を意識させない水準であり、聴き応えがある。ハイドン変奏曲なんかより、こっちが収録されている方が、私としては嬉しい。