松井冬子という日本画家

先日、藝大の博士展(松井冬子は今年修了)があったので、見に行ってきた。実は、彼女の絵を、直で見るのは初めてだったので、そこそこ楽しみにしていた。なぜ、「そこそこ」だったのかと言えば、昨今のネオ・ジャポニズムならなんでも良いといった風潮にう…

渡る世間は鬼ばかり 第45話

TV

「渡る世間は鬼ばかり」は、どうしようもないドラマだと本当に思う。よくこうも事件ばかり起こるな…と呆れつつ、ついつい見てしまう。ああ、恐ろしや。この45話は、非常に意欲的だったのではないだろうか。演出は、荒井光明だが、良くも悪くも冴えないこのド…

オルセー美術館展(東京都美術館)

うーむ、うーむ。期待して見に行ったのだけれど、なんだか感じ入らなかったなあ。すごいゴッホとホイッスラー楽しみにしてたのだけれど。ホイッスラーは「灰色と黒のアレンジメント(母の肖像)」が思ったほどの作品ではなく、がっかり。あまりに幻想を抱き…

ギメ東洋美術館展(太田記念美術館)

浮世絵で有名な太田記念美術館で、北斎の「龍虎図」が展示されている。「龍」と「虎」が対幅だということは、近年はじめてわかったらしい。それを記念しての展示だそうだ。作品は、北斎特有の、重力を強く感じさせるもので、充実していた。ただ、良くも悪く…

テンポについての覚書

最近、フルトヴェングラーをよく聴く。その特徴である、テンポの動かし方について考えることが多いからだ。そのきっかけを与えてくれたのが、戦時中に録音されたブラームスの4番[Delta/Melodiya]と晩年のブラームス3番[DG]だった。共に終楽章の盛り上げ方が…

 DELTA復刻のウラニアのエロイカ

ウラニアのエロイカは話題に事欠かない。フルヴェンが怒ってウラニア社を訴えた、ピッチが高い、CD復刻は山ほどあってどれを聴くべきか…とか。私も、ダイレクトに演奏が伝わってくる復刻に出会えず、新しい復刻が出るたびにいろいろ聴いてきたクチだ。評判に…

宮下誠「20世紀絵画」を読む

なんだとは言っても、「20世紀音楽」は力の入った本だったので、「20世紀絵画」も買ってみた。こちらは、流石に専門分野だけあって、文章が自信に裏付けされている。きっと音楽の方で足りなかったのは、この自信だろう。これは入門書を踏み越えた面白さがあ…

宮下誠「20世紀音楽」を読む

20世紀音楽(現代音楽とは言わない)をわかりやすいものとして紹介。基本的に作品の解説に尽力していて、著者の趣向やオピニオンを明確には打ち出していない。あえて言えば教科書的。この作者はもともとクレーの研究者で、美学が専門。美学から音楽批評とい…

ラトル4枚目のシマノフスキ(歌曲集)

バーミンガム市響とのスタジオ録音[EMI]。これはいいよ。特に「ハルナシェ」はラトルのベストレコーディングに数えてもいい。第2場のツェピーネからが圧巻。バーミンガム市響合唱団が抜群に上手い。ソリストのロビンソンも表情の付け方が巧みで、強奏指示で…

チェリビダッケのブル5

このCD[Altus]が売れに売れている。1986年のサントリーホール開館記念で来日した際の演奏。チェリビダッケの、海賊版を含めたディスコグラフィの中でも、特筆すべき一枚だと思う。ここまで高音質なチェリビダッケの録音自体が少ない。大手レーベルのライブ録…

ネットにおける一人称の問題

インターネットで書き込みをしているときにぶち当たる問題がこれなんだよな。「俺」より「おれ」と書いた方がネット慣れしてるみたいに見えるとか、「私」を使うと堅苦しくて日記ぽくならないとか。意図しないで一人称を選択できるといいんだろうけど、それ…

最近よく聴くCD

山田耕筰の長唄交響曲「鶴亀」[Naxos]を手に入れてから、何度も聴いている。おれみたいな長唄(というよりも邦楽)初心者には親しみやすくて丁度良い。それはオーケストレーションの巧みさによるところが大きいのだろう。曲の展開に合わせて、理解を助けるよ…

ベルリンフィルのジルベスター・コンサート

BSでジルベスターをやってたから見た。普通によい。放送に際してマルチマイクで録って、かなり音をいじっていたと思う。うさんくさいくらいにクリアな音質だった。2005年にBPOが来日した時とは印象が変わっている。オーケストラの響きはかなり筋肉質になって…

年が明けた

歯が痛い。猛烈に痛い。右側の歯が痛いんだけど、右半身の機能が全部低下している気がする。もちろん、医者なんかやってるわけもなく,悶えながら新年を迎える。

ドラマ版のだめカンタービレが終わった

TV

上野樹里の演技に賞賛が集まっているみたいだが、おれとしては最後まで違和感が残った。確かに、原作で描かれるのだめを忠実に再現していたと思う。そこに違和感を感じているのではない。表現の生っぽさに生理的嫌悪感を感じる。同じ様な感覚を最近味わった…

ショスタコーヴィチ交響曲8番

引っ越し、バンドの深夜練習の合間を縫ってサントリーホールへ行ってきた。 ショスタコーヴィチ 交響曲8番 デプリースト/都響 あまりに忙しくて、前半のシニートケを聴き逃したのが残念だったけど、そもそも8番だけでいい様な気もしてたから、開き直って客…

トゥランガリーラ交響曲

結局、聴きに行ってしまった。 メシアン トゥランガリーラ交響曲 カンブルラン/読響 (p.ロジェ・ムラロ、o.m. 原田節) やはり、カンブルランの得意にしているのは、現代音楽だなと思う。改訂されたものをしっかりと参照し、メシアンの意図を忠実に再現し…

バレンボイムのマラ7

ジャケが気持ち悪くて店頭で買うのに気が引けると話題のこのCD[Warner]を買った。もちろん通販で。 バレンボイムのマーラーなんて聴く方が悪い、とか宇野功芳ばりに書き殴ろうかとでも思ってたら、意外に良くてバレンボイムのことを見直してしまった。 弦の…

ルソーは夢なんか見ない

世田谷美術館でやっているアンリ・ルソー展が最終日なので、徹夜明けでも見に行ってきた。気持ち悪い。 素朴派には大して興味はないけれど、ルソーは見てみたかった。下手の代名詞みたいに言われるルソーだけど、実際はそんなことはない。どうすれば視線が動…

カンブルランのドビュッシー

現代音楽を聴く人には馴染みのある名前だと思うけれど、知名度はまだまだ低いカンブルラン。読響への客演があったので聴きに行った。東京芸術劇場。予想通りというか、ちらほらと空席が目立つ。 モーツァルト 交響曲38番「プラハ」 モーツァルト ピアノ協奏…

ギャグマンガの最新鋭スタイル・20世紀少年

どれくらい前だったか。浦沢直樹「20世紀少年」の連載終了が新聞やネットで話題になっていた。 評判は非常に悪い。どういった終わり方をしたのかに興味があったけれど、読む機会もなかった。 スピリッツを読まなくなって久しい。「ルサンチマン」みたいな退…

ズヴェーデンのブラ全

タワレコのセールが終わるということで、渋谷に行って、ブラ全を2つ買ってきた。どっちも廉価セット。 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ ブラームス交響曲全集 [Decca] ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン/オランダ放送フィル ブラームス交響曲…

カタストロフ的な健全さ、サルバトール・ダリ

なぜか2時間しか眠れない。朝の3時頃に必ず目が覚めるし。せっかく早く起きたということで朝一番で美術館に行ってきた。上野へ。 何の作品が来ているかも確認せずに、ダリ回顧展と大エミルタージュ美術館展をハシゴする。ダリ展の方は、いかにもフジテレビが…

最近の買い物

アナトリー・ヴェデルニコフ ドビュッシー「映像」[DENON] 買い逃していただけに、嬉しい復刻。これが、予想以上にすばらしい!この人としては珍しく、かなり遅いテンポで演奏している。映像第1集、とりわけ「水の反映」が、たいへんユニーク。水中というの…

ボストリッジ・ドレイクのシューベルト「水車屋」

イアン・ボストリッジとジュリアス・ドレイクによる、シューベルト「美しき水車屋の娘」所沢市民文化センターミューズでの公演。初所沢。 来る際にトラブルに巻き込まれて遅刻してしまい、6曲目から聴く羽目に。座席も後方に移動ということで、釈然としない…

バビ・ヤール

サンクトペテルブルグフィルとテミルカーノフの来日公演に行ってきた。サントリーホール。 プログラムは最高で、 リムスキー・コルサコフ 見えざる町キテージと聖女フェヴォロニャの物語 序曲 ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲1番 (vn.ヴァディム・レ…

ベルギー王立美術館展

上野に画材を買いに行ったついでに、立ち寄ってみた。 先日のプラド美術館展は、充実した内容で何度も見に行ったが、このベルギー王立美術館展は良くなかった。全体的にネームバリユーで誤魔化している様に感じる。特にルーベンスなんかは、プラドで傑作を観…

龍が如く

最近はDSばっかだったので、なんとなくPS2のゲームがやりたくなり、ふらふらと近所のゲーム屋へ。財布と相談した結果、廉価になっていた「龍が如く」を買ってみた。評判になっていた気がするし。 セガサミーになってから、腑抜けになったと思ってたけど、こ…

ボストリッジとドレイクの冬の旅

ジュリアス・ドレイク、彼はすばらしい。初台オペラシティ・コンサートホールでの公演。 シューベルト「冬の旅」(12曲) ブリテン「冬の言葉」 ボストリッジは「冬の旅」をアンスネスと録音している。評判は良いけれど、私は、ちっとも感心しなかった。 ま…