クラシック

テンポについての覚書

最近、フルトヴェングラーをよく聴く。その特徴である、テンポの動かし方について考えることが多いからだ。そのきっかけを与えてくれたのが、戦時中に録音されたブラームスの4番[Delta/Melodiya]と晩年のブラームス3番[DG]だった。共に終楽章の盛り上げ方が…

 DELTA復刻のウラニアのエロイカ

ウラニアのエロイカは話題に事欠かない。フルヴェンが怒ってウラニア社を訴えた、ピッチが高い、CD復刻は山ほどあってどれを聴くべきか…とか。私も、ダイレクトに演奏が伝わってくる復刻に出会えず、新しい復刻が出るたびにいろいろ聴いてきたクチだ。評判に…

宮下誠「20世紀音楽」を読む

20世紀音楽(現代音楽とは言わない)をわかりやすいものとして紹介。基本的に作品の解説に尽力していて、著者の趣向やオピニオンを明確には打ち出していない。あえて言えば教科書的。この作者はもともとクレーの研究者で、美学が専門。美学から音楽批評とい…

ラトル4枚目のシマノフスキ(歌曲集)

バーミンガム市響とのスタジオ録音[EMI]。これはいいよ。特に「ハルナシェ」はラトルのベストレコーディングに数えてもいい。第2場のツェピーネからが圧巻。バーミンガム市響合唱団が抜群に上手い。ソリストのロビンソンも表情の付け方が巧みで、強奏指示で…

チェリビダッケのブル5

このCD[Altus]が売れに売れている。1986年のサントリーホール開館記念で来日した際の演奏。チェリビダッケの、海賊版を含めたディスコグラフィの中でも、特筆すべき一枚だと思う。ここまで高音質なチェリビダッケの録音自体が少ない。大手レーベルのライブ録…

最近よく聴くCD

山田耕筰の長唄交響曲「鶴亀」[Naxos]を手に入れてから、何度も聴いている。おれみたいな長唄(というよりも邦楽)初心者には親しみやすくて丁度良い。それはオーケストレーションの巧みさによるところが大きいのだろう。曲の展開に合わせて、理解を助けるよ…

ベルリンフィルのジルベスター・コンサート

BSでジルベスターをやってたから見た。普通によい。放送に際してマルチマイクで録って、かなり音をいじっていたと思う。うさんくさいくらいにクリアな音質だった。2005年にBPOが来日した時とは印象が変わっている。オーケストラの響きはかなり筋肉質になって…

ショスタコーヴィチ交響曲8番

引っ越し、バンドの深夜練習の合間を縫ってサントリーホールへ行ってきた。 ショスタコーヴィチ 交響曲8番 デプリースト/都響 あまりに忙しくて、前半のシニートケを聴き逃したのが残念だったけど、そもそも8番だけでいい様な気もしてたから、開き直って客…

トゥランガリーラ交響曲

結局、聴きに行ってしまった。 メシアン トゥランガリーラ交響曲 カンブルラン/読響 (p.ロジェ・ムラロ、o.m. 原田節) やはり、カンブルランの得意にしているのは、現代音楽だなと思う。改訂されたものをしっかりと参照し、メシアンの意図を忠実に再現し…

バレンボイムのマラ7

ジャケが気持ち悪くて店頭で買うのに気が引けると話題のこのCD[Warner]を買った。もちろん通販で。 バレンボイムのマーラーなんて聴く方が悪い、とか宇野功芳ばりに書き殴ろうかとでも思ってたら、意外に良くてバレンボイムのことを見直してしまった。 弦の…

カンブルランのドビュッシー

現代音楽を聴く人には馴染みのある名前だと思うけれど、知名度はまだまだ低いカンブルラン。読響への客演があったので聴きに行った。東京芸術劇場。予想通りというか、ちらほらと空席が目立つ。 モーツァルト 交響曲38番「プラハ」 モーツァルト ピアノ協奏…

ズヴェーデンのブラ全

タワレコのセールが終わるということで、渋谷に行って、ブラ全を2つ買ってきた。どっちも廉価セット。 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ ブラームス交響曲全集 [Decca] ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン/オランダ放送フィル ブラームス交響曲…

最近の買い物

アナトリー・ヴェデルニコフ ドビュッシー「映像」[DENON] 買い逃していただけに、嬉しい復刻。これが、予想以上にすばらしい!この人としては珍しく、かなり遅いテンポで演奏している。映像第1集、とりわけ「水の反映」が、たいへんユニーク。水中というの…

ボストリッジ・ドレイクのシューベルト「水車屋」

イアン・ボストリッジとジュリアス・ドレイクによる、シューベルト「美しき水車屋の娘」所沢市民文化センターミューズでの公演。初所沢。 来る際にトラブルに巻き込まれて遅刻してしまい、6曲目から聴く羽目に。座席も後方に移動ということで、釈然としない…

バビ・ヤール

サンクトペテルブルグフィルとテミルカーノフの来日公演に行ってきた。サントリーホール。 プログラムは最高で、 リムスキー・コルサコフ 見えざる町キテージと聖女フェヴォロニャの物語 序曲 ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲1番 (vn.ヴァディム・レ…

ボストリッジとドレイクの冬の旅

ジュリアス・ドレイク、彼はすばらしい。初台オペラシティ・コンサートホールでの公演。 シューベルト「冬の旅」(12曲) ブリテン「冬の言葉」 ボストリッジは「冬の旅」をアンスネスと録音している。評判は良いけれど、私は、ちっとも感心しなかった。 ま…