バレンボイムのマラ7

Urlicht2006-12-12



ジャケが気持ち悪くて店頭で買うのに気が引けると話題のこのCD[Warner]を買った。もちろん通販で。


バレンボイムマーラーなんて聴く方が悪い、とか宇野功芳ばりに書き殴ろうかとでも思ってたら、意外に良くてバレンボイムのことを見直してしまった。


弦の刻みをここまで強調する人も珍しいんじゃないだろうか。不穏な空気が漂う。トランペットがけたたましく鳴る。ティンパニもドカドカと鳴る。その思い切りが心地良い。こののたうち回ってる感じはどこかで聴いたことがある・・・クレンペラーだ。ただ、クレンペラーみたいに象が踏み荒らしてる様な巨大さはない。もっとコンパクトにまとまっている。


7番はマーラーの中でも一番好きな曲で、第一楽章の終結部とか第四楽章のギターの音とか聴いてると切なくなってくる。しかし、その切迫した、ある種の滑稽さを感じさせてくれる演奏は、意外と少ない。古くはクレンペラー、シェルヘン、ロスバウト、最近だとシャイー、ラトル、テンシュテット(ライブ)あたりが優れた演奏だと思うけど、このバレンボイム盤はそれらと比べても聴き劣りしない。むしろ勝ってる部分もたくさんある。ブロック的に整理して聴かせる演奏、全体を熱狂的に押し切る演奏の2通りあるけれど、バレンボイムはどちらの要素もあって面白い。激しいんだけど、バーンスタインみたいに盲目的になってもいない。ちゃんと先々まで展開を把握しているオーケストラ・ドライブがある。