トゥランガリーラ交響曲


結局、聴きに行ってしまった。

やはり、カンブルランの得意にしているのは、現代音楽だなと思う。改訂されたものをしっかりと参照し、メシアンの意図を忠実に再現していた。サクサクと進む。非常に演奏の難しい曲だけに、指揮者の手腕が問われるけれど、カンブルランは全身を指示記号の様にして楽団を率いていた。先週のドビュッシーの項でも書いたけど、この人はズバズバと構造面を暴こうとするタイプではない。曲の流れというものに注意を払いながら指揮をしている。そこが現代音楽を得意とする多くの指揮者と違う所だろう。リズムや打拍の感覚を誤魔化さずに演奏することで、複雑さから曲を解放することに成功していた。楽しみながら指揮をしているのだ。それが聴き手にも伝わるのだろう。ただ、オケは苦しくなる部分も多く、アインザッツなどもっと決まって欲しいと感じる部分もあった。後半は息切れをしていたが、なんとか乗り切ったみたいだった。余力十分である第一楽章が最も充実していた。


ムラロもモーツァルトと全然違う。断然、メシアンの方が優れている。音の明瞭さが心地良い。第八楽章なんてとても鮮やかに弾ききっていた。原田のオンド・マルトノは、三楽章とかもっと玄妙な発音を望みたかったけれど、それなりにしっかりと仕事をしていた。


客席は空いてたけど、がんばっていたと思う。カンブルランはもっと上手いオケで聴いてみたい。来年はスクロヴァチェフスキも読響でメシアンを振るし、チョンもトゥランガリーラ交響曲をやるようだ。